テクポリマー®MBXシリーズ
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粒子径違いのラインナップが複数あるため希望する孔径を作製する事が可能となります。
自動車排気ガス規制強化に対応!大気保全に役立つ高性能セラミックフィルターの開発
フィルターの高比表面積化と添加剤の残渣低減を可能にした焼失性添加素材とは?
自動車の排気ガスによる大気汚染が進み、人々の健康被害が深刻化した1970年代以降、世界各国にて排出量を規制する動きが本格化し、近年その規制をさらに強化しつつあります。特に欧州や中国では排出量だけでなく、粒子状物質(以下PM)の排出数量制限(PN規制)も設けられ、使用される排ガスフィルターには、従来品よりも高いPM捕集性能が求められています。Y社では主に自動車メーカー向けにセラミックフィルターを供給しており、高品質化の市場ニーズに応えるべく、新規フィルターの開発プロジェクトを立ち上げました。
Y社のエンジニアH氏は、PM捕集性能が優れた高性能セラミックフィルターの開発に取り組んでいました。一般的な自動車用セラミックフィルターは、微小な孔をあけて比表面積を上げることで、効率的なPM捕集を行っています。H氏は新規フィルターの開発を検討するにあたり、まずは捕集性能に直結するフィルターの高比表面積化に目をつけました。
現在、セラミックフィルターの造孔工程においては、セラミックに焼失性添加物を混錬し、それを高温焼成するという方法が主流です。そこでH氏は現行使用している添加剤、カーボン粒子や有機系微粒子の基礎評価から始めました。
添加剤の組合せや処方をかえて試行錯誤を重ねましたが、結果はフィルターの比表面積が目標値には届かず、PM捕集性能も従来品と大差がありませんでした。
また、フィルター焼成後の添加剤残渣も性能低下につながるため、排ガス規制強化に対応するには更なる残渣の低減が必要だと判りました。
従来品では限界を感じたH氏は、新しく造孔に適した添加剤を探すことにしました。
「さまざまな添加剤を評価しましたが、目標とする性能には至りませんでした。排ガス規制強化も加速する中で、開発にはスピードも求められ、苦境に立たされていました」(H氏)
課題のポイント
セラミックフィルターの比表面積を従来品より向上したい
性能低下につながる焼成後の添加剤残渣を低減したい
この課題を解決した方法とは?
解決のポイント
テクポリマー® はセラミックフィルターにサイズが揃った微小な孔をつくりだせる
残渣の残りにくい有機系組成に絞り、添加剤の分解条件を調整できる
添加剤の情報収集を進めていたH氏は、他部署から積水化成品のポリマー微粒子「テクポリマー」を紹介されました。すぐにメーカーに問い合わせ、検討内容と抱えている課題について相談してみると、「テクポリマー」ならカスタマイズの対応が可能で、課題解決の糸口に繋がるのではないかと考えました。
そこでH氏は、粒子径や耐熱性、樹脂組成のカスタマイズを依頼し、さっそくサンプル評価をスタートしました。 「テクポリマー」には真球状で粒子径の均一なグレードがあり、今まで評価したフィラーよりも小粒子径かつ粒度分布も均一に揃っていました。焼結後の造孔した孔サイズもばらつきが少なく、セラミックフィルターの高比表面積化を可能としました。
また、「テクポリマー」は残渣が残りにくい製法となっており、樹脂組成や耐熱性を調整してもらうことで、狙い通りの温度領域で分解させることができました。結果、今まで課題となっていた残渣もほとんど残らないセラミックフィルターが完成しました。
「積水化成品は数多くのグレードを取り揃えていることもあり、要望通りのサンプルをすぐにいただけました。また要望以外にもスクリーニング評価用で複数サンプルを提案いただけたこともあり、短期間で適正なフィラースペックを導き出すことができました」(H氏)
要求性能を全て満たした高性能セラミックフィルターは、PM捕集性能も従来品に比べ大幅に上昇し、顧客から高い評価を得ています。
「テクポリマー」はサブミクロンサイズや不定形状のグレードなど品揃えも豊富で、現在、小型のフィルター開発や不定形状フィラーを使用した新たな高性能フィルターの開発を進めています。
コラム