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テクポリマー®開発の軌跡【1】

独自の重合技術を"発泡"以外の新たな分野へ

積水化成品独自の重合技術から生まれた有機微粒子「テクポリマー」。実はこの素材、私たちの生活のごく身近なシーンにおいて、テレビや車の内装材、化粧品などの外観の魅力や機能性を高めるために一役買っています。
今でこそ、さまざまな特性を持った素材として多くの分野で重用されている「テクポリマー」ですが、決して順風満帆ではなかった開発の軌跡をご紹介します。

日本で初めて国産技術による発泡性ポリスチレンビーズの製造・販売を開始した積水化成品。"発泡"分野で培われた重合技術を、ほかの分野でも役立てられないものか...その思いから1984年、たった2名の研究員によって新たな微粒子事業がスタートすることになりました。

当初は研究員にとっても「テクポリマー」は単なる"粒子の細かい粉"でした。どの領域で何に役立つのか事業化への見当がつかず、まさに手探り状態でした。そこで取引先をはじめ、さまざまな業種の担当者にアドバイスを求めながら、「テクポリマー」の用途開発が始まりました。

求められる分野で活用範囲を着実に拡大

初めて上市に至ったのは、歯の治療に使われる義歯床用樹脂でした。しかし、顧客である歯科への販売量はわずかで、とても"売上が立つ"という段階ではありませんでした。
この頃から相次いで素材展・塗料展などの展示会に出品し、認知度拡大に向けたPR活動もスタートしましたが、なかなか販売にはつながらず研究員たちは社内で肩身の狭い思いをして開発を続けていました。

次に採用されたのは二年後の1986年、製品原料の販売でかねてから取引があった商社からの依頼で、塗料の艶消し剤でした。「テクポリマー」を塗料に添加することで塗膜表面に凹凸が形成され、光を拡散しマットな質感が出せるという特性が判明しました。当時流行していた"艶消しブラック"など高級感を演出したい塗料への使用で、発注量は少しずつ増えていきました。

さらに「テクポリマー」そのものに色付けをする、いわゆるカラー品の製造依頼も舞い込みました。複数色の着色を行うプラントでは色のコンタミネーションを避けるため、工程ごとに機器を洗浄することが求められました。また、着色技術についても試行錯誤が続けられました。

光学分野での採用が事業拡大への足掛かりに

同じ年、「テクポリマー」は今後の事業発展を左右する、全く新しい技術領域での用途展開を見せます。フィルムメーカーからの依頼で、当時米国で流行し、大きな市場となっていたリアプロジェクションテレビのスクリーン用途です。粒の揃った「テクポリマー」の光拡散効果で、映像を美しく投影し、見やすくすることができるという特性の発見は、大変画期的なものでした。
光学分野でのヒットによって、「テクポリマー」の販売量は順調に増加します。ついに専用プラントが建設されました。当時の研究員たちは"やっと社内で市民権を得た思いだった"と述べています。

次編に続く

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