前回のコラムでは、ポリマー微粒子などの粉体の粒子径を測定する方法を解説しました。今回は、粉体の粒子径を測定する際のデータの見方についてご紹介します。
基本的に、ポリマー微粒子などの粉体の粒子径は、粉体内の複数個の粒子を測定して、粒子径ごとの存在比率の分布(粒度分布)で表します。粒度分布は、頻度分布か積算分布のどちらか、または両方で表記します。
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頻度分布:粒子径ごとに区分けを行い、各区間内に存在する粒子量を全体に対する割合(%)で表したもの
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積算分布(ふるい上・ふるい下):基準となる特定の粒子径に対して、基準を上回る、あるいは下回る粒子量が全体の何%かを表したもの
この粒度分布は粉体の重要なデータですが、常にこのグラフしか使用できないのは不便です。そのため、ポリマー微粒子のような粉体では、特定の指標を用いて大きさを表記することが一般的です。表記方法には以下のものがあります。
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モード径:頻度分布にて、出現率が一番高い粒子径
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メジアン径:積算分布にて、大きい側と小さい側が等量(50%)となる粒子径(D50)
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算術平均径:個数、表面積、体積などの基準を設けて算出した粒度分布の平均径
次に、実際に「テクポリマー」のサンプルに同封される試験成績書の一つ「粒度測定結果」の記載データについて説明させていただきます。
粒度分布測定結果の記載内容
試料名:製品名 or 開発品名
コメント:テクポリマー製造時 or 試作時のロット番号
細孔径:測定装置のサイズ径
【計算結果に記載される内容】
平均粒径(μm):算術平均径の値
中位粒径(μm):メジアン径の値
変動係数(%)※:標準偏差を平均粒径で割った値
※CV(Coefficient of Variation)とも表現されます。数字が小さいほど粒子径が揃ったサンプルとなります。
25%径(μm):積算分布のパーセントが25%になる粒子径(D25)
75%径(μm):積算分布のパーセントが75%になる粒子径(D75)
【データ表に記載される内容】
重量基準で測定した、テクポリマーの頻度分布と積算分布(ふるい上)のデータを示しています。
【粒度分布図に記載される内容】
重量基準で測定した、テクポリマーの頻度分布をグラフで示しています。
参考文献「構造計画研究所 【粉体】Vol.4 粒子径分布(粒度分布)」
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