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テクポリマー®開発の軌跡【2】

液晶ディスプレイにより事業が拡大

1995年、「テクポリマー」の名を一躍有名にする光学分野での大ヒットが生まれました。それが、パソコンやテレビの液晶ディスプレイに使われる光拡散フィルムへの活用です。

リアプロジェクション用拡散剤が一定の評価を受け、既に社名が世に知られるようになっていたこの頃、塗料メーカーから新たな「テクポリマー」の製造依頼がありました。発注量がこれまでにない程多く、研究員たちは「何に使われるのだろう」と気にかけていました。取引先の制約により、最終用途が不明なまま先方の要望に沿った微粒子の生産が続いたのです。そして、ある日、最新の液晶ディスプレイを明るく見やすくするためのものだと判明しました。
「テクポリマー」の売上が爆発的に増えたこの年、社内の小さな研究所で事業開発をスタートした研究員の苦労がついに報われたのでした。

新たな形状制御技術の確立

その後、顧客要望への密着対応とは別に自主的な開発にも積極的に取り組んでいくことになります。

ある日のこと、近くに座っていた他部署の技術者が手にしていた電子顕微鏡写真が、一人の研究員の目にとまりました。その大きな粒子の表面がゴルフボールのようなディンプル状になっていたのです。「これはおもしろい、「テクポリマー」でもやってみよう」と、遊び心を持ったところから研究がスタートしました。

粒子をディンプル状にするには特殊なオイルを使用します。ところが、「テクポリマー」で同じように特殊オイルを使用してもディンプル状にはならず、一箇所が窪んでいるものしかできません。
そんな中、研究者は思い切って多量のオイルを使ってみたところ、半球状の微粒子が得られたのです。この現象に驚いた研究員は、その後様々な種類のオイルを試しました。さらには数百を超える実験を重ね、オイルがなくても形状を制御できる新たな添加剤を見つけました。そして粒子形状も半球状だけではなく、凸レンズ状、お椀状、薄片状など、予想を覆す形状の微粒子が多数開発できたのです。
この製品は、開発当時、新聞発表により脚光を浴び、今では化粧品向けの材料として広く国内外で使用されています。

その後、この形状制御技術は若い研究者により引き継がれ、粒子径と形状が均一な半球状やレンズ状の粒子、さらにはキノコ状や馬蹄状の異形粒子が開発されています。今ではポリマー微粒子業界の形状制御技術を牽引しています。

多岐にわたる分野で実績がある「テクポリマー」は、「こんなものに使えないか」「こんな特性を出してほしい」といったお客様からの要望に、その都度忠実にお応えした製品です。

迅速にサンプルを提出して評価してもらう。そして、その評価を元に物性を再調整したうえで納品する。
この愚直で細やかな「カスタマイズ」のプロセスこそが、積水化成品工業の強みです。

更なる躍進へ

2000年に上市したパソコン、液晶テレビの防眩フィルム用粒子は、国内シェアの実に約8割を占めています。

現状のメインマーケットは液晶ディスプレイ、塗料、化粧品の3分野です。今後、当社ではこれに追随する新たな活用分野を模索し続けていきます。特に、「テクポリマー」の物性を他の物質と掛け合わせ、新たな用途に広げる複合化技術の開発に大きな力を注いでいく方針です。

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