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比重が軽く柔軟性があり、低誘電化を叶えた有機素材とは?

5G対応の半導体用絶縁被膜材を他社に先駆けて開発したいが、樹脂改質では限界が...

比重が軽く柔軟性があり、低誘電化を叶えた有機素材とは?

大容量のデータを高速で通信することができる、次世代移動通信システムの5G。高周波数領域での信号の伝送損失を抑える、低誘電な半導体や基材の開発が求められている。

課題

5G向け絶縁被膜材の開発!しかし樹脂改質だけでは限界が...

主に半導体・電子部品メーカー向けに絶縁膜材料を供給しているZ社。研究開発部のエンジニアA氏は、顧客から要望を受け、5Gに対応したベース樹脂の低誘電改質に取り組んでいました。しかし、さまざまな材料を試しましたが、樹脂での改質には限界を感じていました。そこでさらなる低誘電化を図るため、検討したのが添加剤による低誘電化でした。

当時の様子を、A氏は次のように語ります。
「多くの企業が5G向け電子部品の開発に取り組んでいたため、スピード重視が最優先でした。今回の開発では、いち早く他社と差別化を行い、事業化を手掛けたいと考えていました」(A氏)

一般的な添加剤を試してみたが、思い通りの結果が出せず...

A氏らはまず、一般的なシリカを試してみることにしました。しかし、シリカはベース樹脂との相性が思いのほか悪く、比重も重くて硬いため、ハンドリング性が良くありませんでした。出来上がった試作品にもクラックが発生してしまい、A氏はもっと有効な添加剤を探すため、情報収集を進めました。

課題のポイント

  1. 樹脂改質だけでなく、添加剤によって低誘電化を促進したい
  2. ベース樹脂との相性良い添加剤でクラックの発生を軽減したい

この課題を解決した方法とは?

解決

解決のポイント

  1. テクポリマー®中空ポリマー微粒子は、粒子内部に空気層を持つため、低誘電特性の付与が可能

  2. 比重が軽く柔軟性があり、添加することでクラックの発生を抑制できた

中空ポリマー微粒子が、さらなる低誘電化を実現

情報収集を進めていたA氏は、訪れた電子部品の展示会場で、積水化成品の「テクポリマー」中空ポリマー微粒子に興味を持ちました。

「中空ポリマー微粒子は、粒子内部に空気層が入るため、シリカ以上の低誘電特性が見込めるとのことでした。プラスチック粒子なので比重が軽く柔軟性があり、調液のハンドリング向上も期待できそうだと思いました」(A氏)

また、「テクポリマー」は液晶ディスプレイ塗料など、さまざまな樹脂に配合された実績があり、粒子径や分散性も顧客の要望に合わせて調整可能なこともわかりました。担当から話を聞き終えたA氏は早速「テクポリマー」のサンプルを取り寄せ、評価を行うことにしました。

配合やスペックを変えて評価を繰り返し行った結果、シリカを凌ぐ低誘電率を実現できただけでなく、軽くて柔軟な粒子によってハンドリング性が向上し、クラックの発生も抑制できました。その他にも「テクポリマー」の別グレードを使用すると、絶縁膜の透過性も向上できることがわかり、別のテーマでも評価することになりました。

現在Z社は、絶縁膜材料のさらなる低誘電化と性能向上を進めるため、積水化成品と共に改良を続けています。

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